民泊を運営するうえで常に意識しなければならないのが「損益分岐点」です。
いくら売上を出せれば黒字になるのか、事業を維持していくためには気を配る必要があります。
損益分岐点の見極めが甘いと、思わぬ形で赤字になってしまう可能性があります。
そして、赤字が続いてしまいどのタイミングで撤退を考えるべきなのか、そのラインも想定しておく必要があります。
この記事では、民泊事業における損益分岐点、撤退ラインについて考えていきます。
民泊の運営で発生する主な経費
まずは、民泊事業で発生する経費を確認していきます。
民泊で発生する主な月次経費として、以下のものが挙げられます。
- 物件の取得費用
- 保険料
- 水道・光熱費
- Wi-Fiなどのインターネット代
- Airbnbなどのプラットフォーム手数料
- 清掃代行サービス代金
- 日用品代
物件の取得費用は賃貸の場合は家賃、既に所有しているものの場合は取得費用の代わりにローン代、維持費、固定資産税などが発生することになります。
これらの他にも、人件費などが発生することもあるでしょう。
上記費用を合算した上で、月々の利益で賄っていく必要があります。
民泊における損益分岐点
続いて、民泊事業における損益分岐点について取り上げます。
月々にかかる経費の合計額が30万円だった場合、1泊1万円なら毎日の稼働により、1泊2万円なら月の半分の稼働により回収できることになります。
ただそこで注意したいのが、民泊の営業日数の上限です。
簡易宿所や特区民泊であれば1年365日稼働することができますが、民泊新法に基づく一般的な民泊の場合1年の稼働日数が180日に制限されます(自治体の条例によりさらに短縮される場合もあります)。
固定経費は月で大きく変わるものではないため、想定より稼働率が低いケース、物価の変動などにより経費が上昇するケースなど、いろいろなパターンのシミュレーションを行っておくことが求められます。
また長期的に運営する場合は設備の修繕費・改装なども必要となってくるため、それらの支出も例外にしてはいけません。
整理すると、最大でも年間でほぼ半分の日数しか運営できない、稼働率にしてほぼ50%という条件のもと、収益を上げて赤字を回避し、黒字を目指していくという取り組みが求められます。
民泊の適正な料金設定について考える
民泊では1年中の営業が難しいため、適正な料金設定が必要となってきます。
この場合の「適正」とは、限られた営業日数で利益を出すために設定すべき料金という意味になります。
ダイナミックプライシングの導入
ダイナミックプライシングとは、需要が高まる時期は価格を上げ、需要が低い時期は価格を下げるという変動的な価格設定をいいます。
夏休みや年末年始など、多くの人が動く時期に宿泊料金を高く設定することで、需要が低い時期をカバーする考え方になります。
プロスポーツのチケットの他、ディズニーリゾートやUSJなどの代表的なテーマパークでも導入されています。
たとえば2025年の大阪万博では近隣のホテルや民泊の宿泊費が高騰し、相場よりもかなり高い値段であっても空室がほとんどない状況が生まれました。
こういうケースでは、強気の価格設定であっても容易に予約が入るため、周辺の相場とも比較しながら高めの設定が有効です。
導入にあたっては、AIなどのツールを活用することで、近隣施設の稼働率やイベント情報をもとに最適な料金を自動的に算出することができます。
市場の動きを察知して、安定した利益を出せるようにするのがダイナミックプライシングです。
利用人数・利用期間に応じた価格設定
物件・部屋の収容人数次第ですが、利用人数に応じた価格設定も効果的です。
大人数・グループの利用であれば一人あたりの価格を抑えたプランにし、少人数・単身の場合でもリーズナブルに利用できる価格設定が有効となります。
また滞在期間・利用期間に合わせた対応も有効です。
滞在期間による適切な価格設定、長期利用の場合の割引プランなどを柔軟な対応策を用意しておくことで、利用者の満足度が上がりリピーターになる可能性も高くなります。
あらかじめ撤退ラインを決めておく
民泊に限らずどんな事業にも当てはまることですが、思うように収益が上がらなかった事態を想定し、撤退ラインを事前に設定しておくことが重要です。
「挑戦する前からネガティブなことは考えたくない」という心境もあるかもしれませんが、経営を行う上では当然のリスク対策となります。
感情論ではなく、客観的な基準で判断することが重要となり、そのために損益分岐点を認識しておく必要があります。
民泊の場合は、稼働率の平均がおおよそ50%前後といわれており、都市部ではその割合が高くなります。
もしこの稼働率の平均を10%以上下回る状態が数か月続く場合、撤退を考える必要が出てきます。
また月間の収支の赤字が半年以上続く場合も、撤退を考えるラインとされます。
そして、初期費用の投資がどのタイミングで回収できるかも重要な判断基準となります。
一般的な事業であれば回収期間は2年~3年とされ、それを越えても回収のめどが立たない場合は見直しや撤退を考慮する必要があります。
それまで投資した金額や時間、労力などを惜しみ、損失が予想されるにも関わらず損切りできなくなる心理状態を「サンクコスト効果」や「コンコルド効果」といいます。
民泊の場合、夏休みや年末年始などのタイミングを控えて「その時期になれば回復するはずだ」という希望的観測に陥り、月次の経費などの支出が膨らんでいってしまうおそれがあります。
それを防ぐためには、感情ではなく機械的な判断のもと、どのタイミングを撤退ラインとするのかを事前に決めておくのが有効です。
また撤退する場合の先を想定し、出口戦略を考えておくことも重要です。
物件を譲渡するのか、貸し会議室や賃貸物件などに転用するのかといった可能性を検討しておきましょう。
初期費用やそれまでの経費を無駄にしないためにも有効です。
もし撤退ラインを越えてしまような場合は、お気軽に撤退ボトムにご相談ください。
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まとめ
民泊においては支出のシミュレーションが重要ですが、その通りに推移することは多くありません。
だからこそ、需要や季節、ターゲットに応じて価格設定を柔軟的かつ継続的に見直しておく必要があります。
また想定以上の損失を生まないためにも、撤退ラインをあらかじめ定めておき、もしそのラインを越えてしまった場合は機械的に撤退を判断することも必要になってきます。
民泊からの撤退をお考えの方は、「撤退ボトム」までお気軽にお問い合わせください。
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